人の価値が五色に分けられた世界。色の頂点にいる時期王の羽楼(はる)、色の為に生きる上流家庭に生まれた伊都(いと)、塗り替えられた色に甘んずる瀬樹(せず)。
三者が交わる時、混じり合うはずかない色が滲み始める。時代は誰にどんな運命を与えるのか。

紫(ゆかり)

漆(しっこく)

橙(だいだい)

碧(ぺき)

緑(りょく)


五つの色に分けらた世界。



その頂点である紫の最上の位置に君臨する廼神

(のがみ)家の長子である羽楼(はる)


地位も物も人さえも

望めば手に入れられないものは何ひとつもない。

だが、自ら望むもは一つもない。


そんな羽楼が初めて望んだものはこの世に1人にしか与えられない特別色の紅(べに)にふさわしい女(ひと)だけ。


漆の家に生まれた伊都(いと)

男尊女卑、長子第一主義の狭い世界で生きてきた。

家の為に生きることが当たり前だと教えられ希望などなかった伊都が初めて望んだ事は愛する男(ひと)が生きている事だけ。


碧の家の生まれた瀬樹(せず)

廼神の前の時代、世を統治していた赤城家の末裔。

一夜限りの情事を重ね、自由奔放に生きるその理由を知る者はいない。

何にもなびかず飄々と生きる瀬樹が唯一望むものは悲しむ女(ひと)がいなくなる事だけ。