チームの抗争だと思っていたら、革命軍による国家転覆でした。

作者花曇リズ

雨の日に震えている猫を助けていたら、道を曲がったトラックに轢かれた硬派な不良、早乙女飛鳥。
それを面白がった神により、彼女は異世界へと降り立つことになって――

見た目は硬派な不良、中身はド乙女な飛鳥による、ラブと抗争交える異世界物語。

雨の日に震えている猫を助けていたら、道を曲がったトラックに轢かれた早乙女飛鳥。

硬派な一匹狼である彼女は、あまりにもベタな不良ぶりを神に面白がられ、死んだはずの体ごと異世界へと落とされた。


異世界に降り立った飛鳥は神によって類稀なる力を手にしたが、そのことに気づかず持ち前の正義感の強さで悪党の前に立つ。

そんな彼女には”理想の恋愛観”があった。悪党との争いに介入してきた男、ルトは飛鳥の”憧れの先輩”にひどく似ており、彼女の乙女暴走スイッチを深く深く押したのだった。


ルトは、属するチームの頭らしい。強引についていった悪漢の成敗でも、抗争でも、彼は圧倒的な力を発揮していた。飛鳥は自らの強さを恋愛アピールとして主張するものの、ルトには邪険にされてばかり。

だがまっすぐすぎる飛鳥の態度に、ルトは次第に絆されていく。


ある日、チームが大掛かりな抗争を仕掛けるという計画が発足する。飛鳥は大きな喧嘩だと張り切るが、その計画は直前に情報が漏れ、逆に仕掛けられてしまう。

そのことに責任を感じたルトは、その時から飛鳥にひどく冷たい対応を取るように。


落ち込んでいる飛鳥に聞こえてきた、飛鳥の力を利用するために恋心を利用しろといった側近の声。

そこで冷静になった飛鳥がよく耳をそばだてると、この組織はチームでもギャングでもなくこの国の革命軍で、飛鳥が手伝っていたのは国家転覆、クーデターだということにようやく気づく。


直情的な飛鳥はルトに食って掛かるが、逆に無理矢理”夢見ていたファーストキス”を奪われて逃げ出してしまう。


逃げ出した先で、飛鳥はルトの事情を知る。彼は妾腹の第二王子で、当時の王太子、現在は王となっている義理の兄に命を狙われていた。

逃亡生活を続ける中、王の悪政を嘆く民の言葉を聞いて人を集め、革命を成し遂げようとしているところだった。

飛鳥はルトの行動の意味を知り手助けしたいと思うが、彼の願いの成就は王の成り代わりであり、そうすることで飛鳥の恋は永遠に叶わなくなることを知る。


それでも飛鳥はルトの手助けをしようと、クーデターが起こる城へ乗り込むのだった。