この地に捧ぐ王女の献身

作者瀬里

 アディルは、タカルタス王国の王女であるとともに、セイネ領を治めるセイネ公爵家のただ一人の後継者だ。しかしアディルが領を離れている間に、彼女の愛するセイネは国から派遣された執行官に欲しいがままに食い荒らされていた。女の身では政を行うための領主権を得ることができない。セイネを心より愛する彼女は、領主…

――すべてを捧げると決めた、このセイネに

候補、見つけたかも


何が狙いだ


彼女はお前の目的にぴったりなのではないか?


試してみるか。目をつぶれ


――本当は、見届けるだけのつもりだった。


――負うべきものを下ろすことは罪悪で、自分は、決して許されるべきではないのだ。


なあ、思い出さないか? 

心配するな。お前だけは逃がしてやる


――もう、私のせいで、誰も死なせない。


ああ、そうか。これは、戒めなのだ。忘れるなという、天からの啓示なのだろう。


 おかわいそうに。あなたは利用されたんですよ。

俺は、国を捨てよう