古代、葦原中つ国。
 出雲の姫君・珠洲は、故郷を併合した智鋪の女王・台与に呼び寄せられる。台与から禍つ物と呼ばれたうえ、大和へ行って巫女になるよう命じられ、激しく反発を覚える珠洲。出雲を併合し、自分に理不尽な命を出す台与が、大国智鋪で誰からも信頼されていることが疎ましい。
 さらに、大和への旅の…

ストーリー概要および物語の設定


 古代、葦原中あしわらのなかつ国。

 出雲の姫君・珠洲すずは、故郷を併合した智鋪ちほの女王・台与とよに呼び寄せられる。台与からまがつ物と呼ばれたうえ、大和へ行って巫女になるよう命じられ、激しく反発を覚える珠洲。

 出雲を併合し、自分に理不尽な命を出す台与が、大国智鋪で誰からも信頼されていることが疎ましい珠洲。さらに、大和への旅の途上では、彼女を送り届ける役目の武人との深い断絶に悩まされる。

 しかし、物の怪に追い詰められた武人たちを珠洲が助けたことから、徐々に旅の仲間としての絆を深めていく。故郷を離れた孤独に寄り添ってくれた狭野さのとも距離が縮まっていくが、やがて自分が周囲を害する強大な呪いを負っていることに気づく。

 故郷出雲は、なぜ智鋪に国を譲ったのか。台与が大和に自分を向かわせたのは何故か。出雲の老臣が自分に期待していたのは何だったのか――それらを悟ったとき、珠洲は激しい葛藤に向き合うことになる。ままならない境遇に置かれた少女が、冒険の旅を通して成長し、現状に立ち向かう様子を描く。

 日本神話を下地とし、太古の自然世界を背景に、少女の成長譚をつづる和風ファンタジー。