育ての親でもあった父方の祖母72歳、祖父76歳……死去。借金5億円以上。
定食屋【まんぷく堂 】も家も私は全てを失った――――。
私は祖父が病院で亡くなる3日前に書いたであろうたった2行の手紙の住所を便りに
その場所へと向かっていた———。
空腹のお腹の音は『グーグー』鳴って鳴りやまない。
「ああ、お腹すいたなあ。そう言えば、じいちゃんが生きてた頃はお腹いっぱい
食べさせてくれたっけ 」
「ハンバーグに唐揚げ、お好み焼き、イタリアンパスタ、調理パン。
デザートにチョコレートパフェ。ロールケーキ、シュークリーム。
じいちゃんは何でも作ってくれたっけ」
「ばあちゃんが作る料理も美味しかったなあ。
ばあちゃんの握るお寿司は最高に美味しい。ばあちゃんの煮物も絶品さあ」
「もう、美味しいご飯食べれないのかあ」
「こんなことなら、料理の一つでも習っとけばよかった‥‥‥」
ふと、舞衣子の足が立ち止まった———。
着飾った女の子たちの行列。ずらっと100人以上……
手に持っていた祖父の手紙を握りしめて、汗ばんだ手がベトベトしている……。
額から汗が流れ落ち、Tシャツは汗でビショビショ。舞衣子はグッと唾を飲んだ。
太陽の下、走るのも限界だった。
舞衣子の目に映ったのは………オシャレな建物のレストラン。
看板には楷書で書かれた【Beauty-Fool】の文字。
とてもじゃないけど舞衣子には不似合いなお店。店に入る勇気もない。
今何時? 何時間待っただろう……。 お腹の音は鳴りやまない。
「ほんと、おまえの腹は正直だね。ああ、腹へったあ」
「私、このまま何も食べれないまま死んじゃうのかなあ………」
次第に空も薄暗くなり、人気も少なくなってきた。
肌寒いと思えば少し風が吹いてきた。
その時、最後の客が店から出てきた。
もう、閉店の時間かな?
私は、店にゆっくりと近づいて行った………。
身なりなんて気にしている余裕もなく……。