先生は、サイコロばかりを振っている

作者矢向 亜紀

両親を亡くした元小学校教員の梢は、死のうとしていたはずなのに……。極道と元教員、出会うはずのなかった二人の恋と再生の物語は、いつもちょっぴり様子がおかしい。


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【備考】 表紙画像は、外部サイトよりお借りした画像を利用規約の範囲内で加工したものです。

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●ストーリー概要および物語の設定


 地元を離れ小学校教員として勤務していたこずえは、職場のただれた人間関係に精神をすり減らしていた。そこへ、開業医をしていた両親の事故死の報が入り、梢は退職し地元へ戻る。

 全ての処理が終わり自殺を図る梢を救ったのは、極道の男・芳崎よしざきだった。芳崎が所属する宝吉ほうきち組の組長・宝田たからだから、梢を見守るよう指示を受けていた為だ。宝田は梢の親の治療により失明を免れ、「両親に何かあれば梢を見守る」と義理立てていた。


 それでも極道に借りを作るのを恐れた梢は、恩返しを申し出る。梢の「教育は博打だ」という持論を聞き彼女を気に入った宝田により、梢は組員の子どもたちの教育係に任命された。学校教員への反感を抱いていた芳崎も、梢の教員らしからぬ思考に興味を持ち、次第に2人は惹かれ合う。


 やがて梢は、組員や子どもたちとの交流で生きる気力を取り戻し、教員採用試験を受けると決めた。芳崎と梢は想いを通わせるが、生きる世界が違うと袂を分かつ。

 しかし試験当日、会場前に停まった黒い車から優しい目をした男がこちらを見ているのに気づき、梢は小さく微笑んだ。