紺色の海、緋色の空

作者菜々地 良

ある日、僕の元に一通の絵はがきが届く。神戸からロンドン、ヨーク、そしてエディンバラへ。「星空レストラン」に集う動物たちに導かれて、僕は、十年前の僕を探す旅に出る。


目を開くと、それまで見えていた早紀の姿が砂粒のように消えた。


代わりにシロナが立っていた。


「迎えに来たの?」

と訊ねると、シロナは黙ったまま、白く繊細な手を伸ばして僕の頬を撫でた。


その指先が濡れていて、


ああ、

そうか、


僕は、泣いていたんだと、


初めて気が付いた。


『そして僕は旅に出る』より


since 2021.9

菜々地 良