●ストーリーの概要
東京の音楽大学の楽理科4年の椎名恒星は、大学の教授の紹介で栃木県の市民オーケストラへ
夏休みの間だけ事務のバイトに行く。
恒星はその地で、国立大学の物理学科4年生で中国人留学生の王浩宇(ワンハオユー)ーと出会う。
恒星はピアノ、ハオユーは二胡が演奏できその実力は相当なものだが、二人とも裕福ではない家庭で育ったことから
家族のために音楽ではない道(安定した生活)を選ぼうとしていた。
ある日、ハオユーが二胡で演奏する「ムーンライトセレナーデ」を偶然聴いた恒星は、その音色に魅了される。
ハオユーも恒星のピアノを聴くと、「今まで聴いたピアノの中で一番好きな音色」と感動する。
そしてお互いが経済的理由で音楽を諦めようとしていることを知ると、
多くを語らなくても音楽への想いを音色から痛いほど感じ取り、
「音楽を諦めて欲しくない」という気持ちがお互い芽生える。
夏休みも終わり、恒星は東京へ戻る前日の夜、二人は初めて即興で
「ムーンライトセレナーデ」をセッションをする。
その重なった音色は美しく絡み合い、空や海にまでも届くような深い音色だった。
ハオユーは恒星に「ピアノを続けて欲しい」と伝える。
東京に戻った恒星は今までの生活に戻るが、大学のレッスン室でピアノを弾くようになる。
冬休み。恒星が栃木県を訪れるとハオユーの姿はなく、そこで中国に帰国したと知る。
オケスタッフの真琴がハオユーから預かっているという楽譜を恒星に渡すと、
それはあの日、即興でセッションした二胡とピアノのムーンライトセレナーデの手書きの楽譜で、
そこにはハイユーの想いが溢れていた。
楽譜を受け取った恒星は「音楽(ハオユー)から離れられない」という熱い想いにかられ
中国に渡ることを決意する。