来世は双子じゃありませんように

作者十束千鶴

 一卵性双生児の姉として生まれた美鈴(みすず)にとって、妹の麻衣(まい)は、常に劣等感を刺激する存在だった。麻衣は負けず嫌いな性格で、常に美鈴にマウントを取る。

 小学校では足の速さ、テストの点、見た目の可愛さ……全てを比べられ、美鈴の自尊心は次第に削れていく。家族四人で車に乗っても、前に座る両…

▶ストーリー概要および物語の設定


 一卵性双生児の姉として生まれた美鈴(みすず)にとって、妹の麻衣(まい)は、常に劣等感を刺激する存在だった。麻衣は負けず嫌いな性格で、常に美鈴にマウントを取る。


 小学校では足の速さ、テストの点、見た目の可愛さ……全てを比べられ、美鈴の自尊心は次第に削れていく。家族四人で車に乗っても、前に座る両親と話せるのは、後部座席中央に座る麻衣だけ。美鈴は後部座席左後ろで外を眺めるしかない。

 明るい性格の麻衣は、親との関係も良好。美鈴は、母親がを愛し自分を蔑ろにするのを肌で感じていた。


 就職をしても、美鈴は自己肯定感の低さから、「誰かの役に立たなくては」と駆り立てられ、パニック障害&適応障害になる。

 母親が親戚に対し、大手企業に就職した麻衣を自慢していた姿を見ていたために、親からの援助も頼みづらい中、恥を忍んで親を頼ることに。

 しかし届いたLINEは「身体は健康なのだから働いて下さい」の一言。適応障害が、うつ病に変わった。


 そこから数年かけてうつを克服した美鈴は、親や妹との連絡を一切絶ち、幸せな日々を過ごす。それでも時々、来世ももし人間ならは双子じゃありませんようにと祈る夜があるのだった。