ウサラギ ー香油と、何もしないあやかしー

作者もち

それは雪の降る二月はじめの朝のこと。
二宮茉奈(にのみや・まな)は、ブックデザインを生業とする三十歳。
出社した彼女の目の前には、己の椅子の上で寝る真っ白い仔うさぎの姿があった。
突然現れたそれは「幽霊」だと、恋人兼上司の井坂樹(いさか・いつき)に言われ、彼女は気がつく。
そのうさぎには影がない…