【ストーリー概要および物語の設定】
この世界には、男女だけではなく、α、β、Ωという性別が存在した。
あらゆる能力が高く社会的地位が高いα、ごく一般的で人口の大半を占めるβ、そして生殖能力に長け男性であっても妊娠可能だが社会的地位が低いΩ。
α家系にΩとして生まれた叶は、幼い頃不慮の事故で両親を失う。後ろ盾を失くした叶は、Ωである事を理由に一族から疎まれ、酷い扱いを受けた挙句、家を追われることとなる。
そんな叶を迎え入れたのは代々Ωが当主を務めるという一風変わった西園家であった。
西園家にはある秘密がある。それは、子どもを望むα夫婦の代理出産を引き受けるというもの。その代理母(サロゲートマザー)には当主となるΩが選ばれていた。
発情期が訪れない義兄に代わり、恋すら知らぬまま当主そしてサロゲートマザーになる事を決意する叶。
叶はいつも自分の存在意義を問い、居場所を探していた。あまりに狭く閉ざされた叶の世界。
叶の身体に己の生(精)をぶつけるクライアントのα達。叶に宿る命、そして別れ。
これは、『誰かのため』が唯一原動力であった叶が、数多な出会いと別れの中で『自分のため』に一歩を踏み出すまでの物語。