地上世界を支配する大倭の国。そこに己の体内に妖を封じ、自らの力にしてしまう少女がいた。それを穢れ巫女と呼ぶ。ただし、十八歳を迎えると封印されていた妖は解放され、巫女の肉体と魂は消滅してしまう。巫女は十七歳になると鎮魂の儀式を執り行う掟がある。それは己を生贄に神に捧げ、封印された妖を次代の穢れ巫女に…

地上世界を支配する大倭の国。そこに己の体内に妖を封じ、自らの力にしてしまう少女がいた。それを穢れ巫女と呼ぶ。ただし、十八歳を迎えると封印されていた妖は解放され、巫女の肉体と魂は消滅してしまう。巫女は十七歳になると鎮魂の儀式を執り行う掟がある。それは己を生贄に神に捧げ、封印された妖を次代の穢れ巫女に継承するもの。今代の巫女ユカラにも運命の日が刻々と近づいていた。ユカラには護衛として常に付き従う少年の姿があった。名を『百目』。ユカラの祖先に敗れて以来、忠実な使い魔として常に代々の穢れ巫女に仕えていた。そして、百目にはとある呪いがかけられていた。それは、千年恋呪。百目は初代巫女に敗北した際、代々の巫女に千年間恋をする呪いをかけられていたのだ。遂に儀式の日が訪れた。ユカラは生贄に捧げられ、その能力は次代の巫女に受け継がれた。これで何度目の絶望だろうか、と百目は心で独りごちた。次に選ばれた巫女はユカラの妹のムカル。すると、ムカルは堂々と百目に宣言した。「あたし、巫女、やーめた!」と。巫女の運命に抗うことを決めたムカルと百目は、こうして絶望的な逃避行を決意するのであった。