時は戦国時代。現在の愛知県より少し離れた東南の島に、ある独立国家があった。その国の名は、悠國ゆうこく。国は、文化と経済を担い首都である公州、鋳物や武具生産が盛んな鉱州、農業と漁業が中心の江州の三つに分かれており、それぞれの州を三兄弟が統治する形でひとつの国をなしていた。

ある夜、鉱州に一艘の舟が到着する。それは内地(日本本土)からの使者であった。使者は、鉱州を治める次男の悠後忠久ゆうごただひさの前に、ある物を差し出す。それは鉄砲の設計図であった。

一年後。江州のとある小さな村が、野武士による襲撃に遭う。南蛮人と日本人の混血である少年、阿弓あきゅうは、その襲撃で母を失い、自身も三人の野武士に襲われ、瀕死の重傷を負う。生と死の境の世界で阿弓は、「ツカサ」という生と死を司る存在に出会う。ツカサは死の摂理を阿弓に問い、死にいざなうが、すんでのところで阿弓は現実の世界へ引き戻される。それは、阿弓の手を握る右腕の長い少女、村上朱虎むらかみあけとらの強い生命力によるものだった。

手を繋ぐことでしか生きられなくなった少年阿弓と、異形の少女朱虎。

二人は成長しながら、混乱の悠國を生き抜いていく。