「コウちゃんのお嫁さんになってあげる」

──夢のなかで誰かが云った。

都会の片隅から、かつて住んだことのある山間の片田舎へと引っ越してきた高校2年の葉山浩太は、ある夜、古い記憶のような夢を見た──。

小学校の4年生まで住んでいたはずのこの場所に、何の記憶も残っていないことを不思議に思いながら…

小首を傾げるようにして彼女が訊いた。「──きれい、でしょ?」