悲しみを消す消しゴム

作者優美


同じ会社に勤めているのに、ほとんど話したことの無い中野と谷村だったが、

『香り』をきっかけに、中野は谷村を気にし始める。

そしてある出来事から、2人は話すようになり、そしてお互いのことを知る。

大切な人を失って知る、いろいろな感情と想い。

この悲しみを消す、消しゴムがあればいいのに……と…



好きな人がつけていた香水が、

欲しくてずっと探し続けた。

  


香りだけでもいいから、

近くに感じたかった。



でも香水は廃盤で手には入らず、

僕は諦めた。



あれから月日は過ぎ、

香水のことなんて

すっかり忘れていたのに、



突然あの香りが、僕の鼻腔をくすぐり、

僕の心臓をキュッとさせた。



大好きな君が、

そこにいたような気がして、

僕は君を探した。