裸足のシンデレラは御曹司を待っている

作者三五

沖縄県北部、ヤンバルと呼ばれる地域にある高級貸し別荘『城間別邸』にやってきた柏木直哉。その人を見て別荘管理人の安里遥香の心はざわついた。
5年前に、蜜月の日々を過ごした事があるからだ。
それなのに、「はじめまして」と爽やかに微笑む直哉。
そのことにショックを受ける遥香。
私の事を弄んだ挙句、すっか…

彼が車から降り立った瞬間、爽やかな風が吹き抜け、緑の木々がざわめいた。


目の前にいる彼は5年前と同じように、彫りの深い目鼻立ちが整った美しい顔で微笑んでいるのに、その切れ長の瞳は寂し気に揺れていた。

 

なんで今頃、私の前にまた現れたの?


震える手をギュッと握り込み管理人としての業務を全うする。


「柏木直哉様。『城間別邸』へ、ようこそお越しくださいました。本日より6泊のご予定でご予約承っております。滞在時間中お手伝いさせていただきます、安里遥香と申します。よろしくお願いいたします」


、安里さん。お世話になります」



って、言われた。

忘れたくても忘れられなかった大切な思い出の中に住人は、私と過ごした日々を無かったことにしていた。


 

この沖縄、やんばるの地で、今から5年前に一緒に過ごした時間は幻と消えたんだ。