この物語の扉を開いてしまった同じ読者に忠告しておく。
表紙のタイトルは私が勝手に付け替えた。
もともと作者は題名を「Yin & Yang」(陰と陽のことらしい)にしていた。しかし、これはないだろう。これから先にそんな深い思想的な話などありはしない。これまで多くの叙述家が使ってきた題材を恰も自分が…
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この物語の扉を開いてしまった同じ読者に忠告しておく。
表紙のタイトルは私が勝手に付け替えた。
もともと作者は題名を「Yin & Yang」(陰と陽のことらしい)にしていた。しかし、これはないだろう。これから先にそんな深い思想的な話などありはしない。これまで多くの叙述家が使ってきた題材を恰も自分が発見したかのように引用している。だから「引&用」ぐらいが丁度いい。
あなたに妙な誤解を与えないよう、作者に断りもせず題名をすり替えておいた。これを見た時のカレの驚く顔が早く見てみたい。
作者の意図するところは恐らく、貧しい女の日陰と、有能な男の日向の暮らしの陰陽を、男女の恋愛話に放り込んで、その段差を遊び掻き回そうとしたのだろうが、我々読者にカレのデカダンを婉曲的、だけれども結局のところお節介なまでに押し付けている。
あなたに忠告しておきたいのは、この物語はプレアンブルにあるような、「便利さと、煩わしさと、お愛想と、孤独と、なにもかもが崩れていく。すれ違った世界に生きる男女の哀しき交錯」、みたいなドラマチックなお話ではない。もしもあなたが読後の爽やかさが欲しくて、身分違いの恋愛やサクセスストーリーを期待しているならばこの本はやめたほうがいい。私が想像するに、この本はコミ障の作者の行き場のない自己顕示欲が暴走した、謂わば自伝だと思う。
あとはあなたの勝手だ。次のページからはカレのデカダンを食べ過ぎてまるまると太った自伝が始まってしまうぞ。
読者 ideaphone heavy user