河原慎一の両親は今から八年前、直樹八十三歳、佐和子七十七歳のとき、二人暮らしの老後に不安を覚えたため、長男慎一からの同居や近居の申し出を断り、長年住み慣れた東京から小田原の有料老人ホームへ転居する。
しかし、終の住処と決めたはずのそのホームで老後破産してしまい、五年後、直樹が他界すると、一…