「つまんなかった」
その一言から始まる感想DMを読みたい作家なんて一人もいないと断言できる。
彼から送られてきたDMの内容は辛辣で弱小作家である実春のメンタルを削るには十分すぎる威力だった。
「この人小説書いたことあんの?!辛辣ボコすぎでしょ!」
衝撃的な言葉に精神が乱れた実春はスマホに向かって絶叫する。どの目線から言ってるんだコイツ!悔しくて腹が立った実春はDMに返信する。
「ちょっと言い過ぎ!こっちは一生懸命書いてるんだから、そういうこと言うのは失礼だしルール違反!」
つまらなかったのなら、無言で去ればいいのにわざわざ文句言いに来るな。DMでボコられるのは精神的にキツいが、怖いもの見たさである。恐る恐る実春は返信DMを覗いた。
「失礼?こっちだって時間かけて読んだのに、感想伝えるのってルール違反なの?どこのルール?書いてる?」
「良い感想だけを伝えるのが小説投稿サイトのマイナールール!」
「君、作家なのに感想欲しくないの?」
本気で作家を目指す実春には、アンチな感想も必要だった。
そう気づかせてくれた彼からのフルボッコ感想DMは、実春を作家として成長させていく。
小説投稿サイトで繋がった、顔も見たことがない底辺作家とセレブ社長に恋は生まれるのか?!