▶ストーリー概要および物語の設定


西暦1642年秋。

漢民族の王朝であるみんは衰退し、満州人の国家であるしんの侵攻を、長城東端の山海関で辛うじて凌いである情勢であった。

天下がそのような趨勢の中、少女イリナは絶体絶命の危機にあった。

短弓を背に、義侠の心を胸に、己が武名を天下に轟かせんと志す彼女の姿は、明国南方の都市である廈門近海の船上にあった。

なぜ絶体絶命かといえば、彼女は密航者であった。

しかも先刻、船員の一人に密航がバレてしまっていた。

このままでは天下に武名が轟く前に、密航者という汚名が垂れ流されてしまう。

物陰に隠れ、息を潜める彼女。

だが無情にも、腹の虫が鳴り響く。

密航するくらいなのだ、ひもじさにもずっと耐えていたのだ。

音を聞きつけ、走り寄ってくる船員の足音が聞こえる中、彼女の顔に影が落ちた。

見れば、彼女が身を潜めている物陰を背に隠すような形で、長身の青年が眼前に立ち塞がっていた。


この出会いを機に、少女イリナは周囲の人間を巻き込みながら、激動の明末清初に巻き込まれて行くことになる。