高2の春、僕のクラスに転入生が来た。
彼女の名前は雲間蝶蜜。これが、悪夢の始まりだった。

加賀美律が高校2年生になった日、転入生がやってきた。雲間蝶蜜と名乗った少女はその容姿の美しさとは裏腹に、返答も曖昧で愛想も悪く、クラスに溶け込むことはなかった。

ある日、律は自作のクッキーを食べてるところを蝶蜜に見られてしまう。そしてこのちょっとした出来事をキッカケに、律は蝶蜜の秘密を知ることになる。


彼女はある施設が生み出した実験体―――人間と捕食者の姿を持つ生物兵器だったのだ。

人間社会に溶け込めるか、捕食者として暴走しないかの実地実験中の彼女たちは、よりよい個体を残すため、実験体同士で殺し合いをするよう指示をされていた。


「君の焼くクッキーが食べたい」という理由だけで生かされることになった律にとって、この出来事は悪夢のようだった。

まるで律という光に呼び寄せられる虫のように、彼の周りには実験体の少女たちが集まってくる。

だがそんな少女たちと、殺し合い、食らいあい、時には笑顔で語らう蝶蜜を見ているうちに、律は彼女に対して強い思いを抱くようになる。

「死なないで」と。


気高き実験体に、人間は何をしてやれるのか。

これは、弱い少年と強い少女の、1年間の物語。