越えられぬ壁

作者上川レイ

 85歳の山村和子は、夫に先立たれ老人ホームで一人暮らし。常にリビング・ウイルに自署した「尊厳死カード」を肌身離さず持ち歩いていたので、いずれ身体が衰弱した際には「胃ろう」などの人工栄養投与による治療は一切拒否できて、自然な形で天国へ行けるものと信じていた。
 ところが、大腿骨骨折の大怪我を負って…