恋人の左腕

作者内田裕基

少年の名前は水沢伊織(みずさわいおり)、大学生の彼には密かに付き合っている恋人がいた。
夏名修司(なつなしゅうじ)、伊織の大学の先生である。
異性愛者として大学に溶け込んでいた伊織……そんな芝居に気付いたのが夏名だった。
夏名に自然と惹かれる伊織、二人はやがて付き合うようになる。
その後、仲を深め…

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"このお話は、事故で左腕と恋人を失った少年の「再生」の物語ーー"

少年の名前は水沢伊織(みずさわいおり)、大学生の彼には密かに付き合っている恋人がいた。

夏名修司(なつなしゅうじ)、伊織の大学の先生である。

異性愛者として大学に溶け込んでいた伊織……そんな芝居に気付いたのが夏名だった。

夏名に自然と惹かれる伊織、二人はやがて付き合うようになる。

その後、仲を深め幸せの絶頂にいた伊織に訪れたのは……交通事故により、左腕と恋人の夏名を失うという、とても悲しくて悲惨な出来事だった。

伊織に残されたのは、手術によって接合された『恋人の左腕』だけ。

悲しみの淵にいた伊織が涙を流すと、左腕が自分の意思と関係なく動き始め……「泣かないで」と紙に書いた。移植した伊織の左腕には、夏名の意思が宿っていたのだ。

夏名の意思とやり取り出来て嬉しい伊織は、リハビリも積極的に行うようになっていく。

以前のような内緒の付き合いが再び始まったのだと、伊織は思っていた。

だが接合した左腕が伊織の身体に違和感無く馴染んでいくと、腕に宿った夏名の意思は薄れていく。

夏名との別れが近いことを察した伊織は焦り始めて……。