高倉食堂の『ひやがり鯛カレー』〜草笛を添えて〜

作者篤永ぎゃ丸

2022年、熊本の丸島漁港に存在する賄いメニューの『ひやがり鯛カレー』が話題になっていた。

これは懐かしき甘辛い恋の味がする、仕事を頑張ったお昼のご褒美カレーが出来上がるまでのおはなし。

 ひやがり鯛カレー(ひやがりたいかれー)とは、熊本県丸島漁港に存在する「高倉食堂」の看板メニューである。『ひやがり』とは、熊本の方言で昼食を意味する。


【概要】

 科学メーカーの作業員だった長尾幸太郎ながおこうたろう(1933〜1957)が、考案した。金目鯛を丸々一匹カレーと一緒に煮込んだフィッシュヘッドカレーに近い見た目で、鯛の上に添えられた一枚のローレルの葉が特徴。「高倉食堂」は明治時代から丸島港や周辺工場施設の社員食堂として、地域で親しまれている。


 そのボリューミーな見た目と、三百円という破格の値段が話題となっていたが、2022年に公開されたアニメーション映画「人魚と御神木」の作中の食事シーンにて『鯛カレー』が登場した事で、たちまちネット上で反響を呼び、客が殺到した。現在では丸島港の名物の一つとなっている。