暴力や暴言を受け続け美琴の感情は麻痺していく。そんな時に、隣人の大学生
「私の夫を殺してくれる?」と冗談で問う。
すんなり断られてしまうが、女慣れをしていない恭介に色恋をかけて上手く扱えば、
理性なんか効かなくなるくらい私に惚れさせて言うこと聞くようにすればいい。と美琴の中の悪女が顔を出す。そんな目論見を知らない恭介は美琴を放っておけず、いつでもこの部屋に来ていいと告げる。
暴力を受けた時に逃げ場として通うようになり、
恭介と過ごす暖かい時間に癒しを感じた美琴は、暴力を受けていない時でも、嘘をつき恭介の部屋を訪れる。
自分に惚れさせるため、色仕掛けを仕掛けるが
顔を真っ赤にしながらも一切、手を出して来ることはなかった。その時、恭介は既に惚れていたが、立場上我慢していた。
美琴の体に痣が増えていく事に我慢の限界が来て告げた。「あんな酷い旦那殺そう——。」
美琴は一瞬驚くが、当初目論んでいた恭介を兵隊にする事に成功した。計画通りのはずなのに美琴は喜べなかった。その頃には美琴も恭介を好きになっていたのだ。
戸惑ってる美琴に恭介は続ける。「殺すと言っても、俺たちが犯罪者になるなんて割に合わない。社会的に殺そう。」この一言から
愛人の情報、暴力による医師の診断書など証拠をを集めていく。それらの証拠を公にする寸前で
時はたち1年後——
美琴は透に離婚を叩きつける。異常な愛し方をしている透は離婚を許すはずがなく拒否する。
そこに現れたのは大学生ではなく大人びた恭介だった。必死に働いて貯めた現金200万と、美琴にしてきた暴力や暴言の証拠を叩きつける。
奪われた証拠を2人は取り返していた。順応な振りをしていたこの1年は、全部この日のためだった。異常な愛は終わりを告げた。
新しい人生に向けて歩きだす2人。
今まで指一本触れることのなかった恭介は、初めて美琴に触れて、抱きしめた。