殺して欲しいので結婚してください

作者あさひゆずき

私の結婚。それは、殺し屋に殺してもらうためだった。


父は社長で裕福な家庭に育てられた椿つばき。ある日、父が会社のお金を使い込み疾走した。残された借金は2000万円。椿が身体を売って払うか、母が臓器を売って払うか、取り立て屋に脅される。母を見殺しに出来ない椿は自分が借金を返すことを承諾する。


2000万円を身体を売って返す未来に絶望した椿は、辛い思いをする前に死にたいと考える。そして、自分が生命保険に入っていたことを思い出す。その額は5000万円。生命保険で借金を返そうと決意するが、自殺を何度も試みるも死ねなかった。


殺し屋、影山かげやまに殺して欲しいと依頼をするが、お金が足りずに断られる。自分が死んだら多額の保険金が入る事を伝えて「殺して欲しいので結婚してください」と前代未聞のプロポーズをする。


利害が一致した2人は籍を入れる。生命保険の契約書を確認すると、契約から3年経っていなかった。あと3ヶ月待たないと、椿が死んでも保険金が受け取れないのだ。


椿の死期は遠のき、借金返済のため殺して欲しい椿と、殺し屋の奇妙な結婚生活が始まる。


椿と一緒に暮らしてくうちに、心がなかった影山かげやまに愛という感情が芽生える。初めての感情に戸惑いながらも不器用に愛を示していく。裏社会の人間を好きになってはいけないと分かっているのに、椿も影山に惹かれていく。


内密に榊の事を調べていた影山は、衝撃の事実を知る。会社が倒産に追い込まれたのは、椿の父が取り立て屋のさかきと計画したものだった。借金は嘘で、両親の目的は椿を売って大金を得る事だった。


影山は榊と対峙し、殺す一歩手前で踏みとどまる。椿に近づかない事を条件に解放する。椿の両親にも「2度と椿の前に現れないこと」を約束させ、解放した。


両親に裏切られた事を知ったら、椿は悲しむだろうと考え「俺が殺したから、両親にはもう会えない」と椿を傷つけないための嘘をつく。


惹かれ合っていた2人だが、借金がなくなり一緒にいる理由がなくなった。影山がついた嘘で、関係は崩れ離婚する事になった。


椿がいなくなり寂しいという感情を初めて知った影山の元へ、婚姻届を持った椿が現れる。両親を探し出して真実を知った椿は戻ってきた。


本当は嬉しいはずなのに自分は殺し屋。日陰でしか生きられない。と椿の事を考えて突き放す。


突き放されても影山と一緒にいたい椿は「一緒に生きて欲しいので結婚してください」と2度目のプロポーズをする。椿は真っ当な人生ではなく、自分にとって幸せな道、殺し屋との結婚を選んだ。