だますのも、愛のうち

ストーリー概要

　美咲は結婚詐欺をしながら、作家志望で無職の恋人・夏樹を養っている。夏樹はついに賞を取り、デビュー作の出版が目前だ。

　ある日、美咲が結婚詐欺のカモといると、見知らぬ男が「その女、結婚詐欺師ですよ」とバラしてきた。男は探偵の及川。過去に騙した誰かが、美咲のことを探しているのだろうか。見逃してくれれば何でもすると言う美咲に、及川は、頼みたいことがあると言った。

　及川の頼みは、県議会議員の大平を誘惑することだった。及川のいとこである大平の妻・玲奈は離婚したがっているが、大平が同意しないので、弱みを握りたいらしい。

　美咲は誘惑に成功。しかし大平は、友人二人を招き、複数プレイを楽しもうと言い出した。美咲に襲いかかろうとした彼らを及川が撃退。隠しカメラで撮った今の発言を世にばらすと脅し、離婚に同意させることに成功した。

　帰り道、及川は、実は自分は美咲の中学の同級生だと告白する。母親の再婚で姓が変わっていたのだ。美咲は懐かしく思う一方、中学時代の自分を知る人には会いたくなかったとも思う。美咲は中学生のころ、自分を男たちに売った継父を刺殺しているのだ。

　及川は、かつての自分は何の力にもなれなかったが今なら力になれると言い、夏樹は浮気をしているから別れた方がいいと助言する。そして、中学時代美咲のことが好きだったと告げ、「あいつと別れて俺にしろよ」とせまる。美咲の気持ちは揺れた。

　しかしその後、美咲は、夏樹が電話で「元殺人犯の恋人なんてデビュー前に別れておきたい。円満に別れたくて別れ工作を頼んだんだから、頼むよ、及川さん」と言っているのを聞いてしまう。

　数日後、美咲は、かつて自分が騙した男とばったり会ってしまった。警察に突き出すと手首をつかまれたところを、及川に助けられた。

　及川は、夏樹が別れたがっている「美咲は元殺人犯だから」という理由を美咲が知れば傷つくだろうと思い、その理由を美咲に知られることなく別れさせたいと考え、別れ工作を引き受けたのだった。しかし、「俺にしろよ」と言ったのはその仕事とは関係ないと美咲に告げる。夏樹からの依頼は断った上で、及川はあらためて美咲に告白し、二人は結ばれる。