白石莉乃は両親と共に、平穏で幸せな日々を送っていた。しかしある日母・真由子が、本当の母親ではないと莉乃に告白。その直後、真由子は突然失踪し、父・豊も交通事故で死んでしまう。莉乃は会社を休職し、真由子を探し始める。豊が言い残した「キダソウマ」の名を手がかりに、真由子の最後の目撃情報地点近くで探りを入れていると、ガラの悪い男達に絡まれ、鬼田颯真と名乗る男に助けられる。颯真は紅崎組の幹部で、男達は敵対勢力東雲組の手の者だと言う。莉乃を保護するとして自宅に連れ帰る颯真。事情を話し問い詰める莉乃に、豊のことも知らないし、話せることもないと言う颯真は、母を探す莉乃に協力すると親切な様子。颯真を怪しむ莉乃は真由子の件を探る為、颯真の自宅に自ら居座る。極道である颯真は一見怖いが終始誠実な対応で優しく、次第に只の同姓同名かと思うようになる莉乃だが、颯真の部屋で、莉乃が昔真由子に贈ったショールに酷似したものを発見。問い詰める莉乃に「自分の母が忘れていったもの」ととぼける颯真。疑いを深めた莉乃は、颯真に告白し、正式に組長の女の座に収まる。颯真を手玉に取りたい莉乃だが、颯真の方が上手で苦戦。なんとか颯真を探ろうとするも、思いの外大切にされ、甘やかされ絆されていく。東雲組に攫われた莉乃を颯真が助けたり、シノギの奪い合いの抗争など、極道の世界特有の出来事や数々のトラブルを通して、二人の心は次第に近づく。やがて颯真は、真由子が住み込みで働いているとして、他県の山奥の旅館を突き止めたと情報を寄越す。颯真を疑っていたと白状し謝る莉乃に、優しい顔で莉乃にキスをする颯真。莉乃が旅館へ向かうと、再会した真由子から真実が語られる。颯真は、真由子と真由子の前夫との子供で、真由子は前夫と幼い颯真を残し、失踪したという。そして、妻を亡くし幼い莉乃を連れた豊と駆け落ちしたのだった。莉乃一家は颯真に恨まれており、颯真は「莉乃一家に同じ思いを味合わせる」として真由子に失踪を指示。最後に影から家族を一目見ようと戻った真由子を発見した豊は、真由子を追う途中事故に遭っていた。颯真は「自分を犠牲にして幸せを得た」莉乃を惚れさせた上で捨てるため、莉乃に優しくしていたのだった。
颯真と向き合うつもりで戻る莉乃だが、既に颯真宅はもぬけの殻。真由子から情報を得た莉乃が、真由子が元夫と住んでいた颯真の昔の家を訪れると、颯真が一人で佇んでいた。買い戻したこの古家にたまに訪れているという。酒に溺れた父が病気で死に、親戚をたらい回しにされた過去を語り、孤独で辛くて莉乃が憎らしかった、でも好きになり復讐をやめたと打ち明ける颯真。自分のような日陰者から離れて生きろと颯真は言うが、莉乃は代わりに受けた愛情を一生かけて返すから一緒にいて欲しいと訴える。二人は結ばれる。