紅月夜話―算術好きの行き遅れ令嬢なのに年下皇太孫殿下が溺愛してきます―

作者豆渓ありさ

「どうしてわたしなんかを――……?」
問いかけると、年下のはずの彼は、すこしだけ大人びた微笑を見せた。
「ひみつ。だってあなたに、もっと僕のことを考えてほしいから」


宵国は、月仙女・姮娥娘々の加護を受けて栄える国だ。
蘇紅月は、算術好きの変わり者。そのせいで婚約者は棄てられ、二十五歳になる今も…