器見ーUTSUWAMIー第九十九相談室の怪人

作者桐嶋ハトメ

歴史ある全寮制の中高一貫校、私立楓ヶ坂学園。名門かつ閉鎖的な環境の中で生まれる生徒のあらゆる悩みを解決するために、学内には一風変わった「相談棟」と呼ばれる施設があった。
鷹城爽(たかしろ さわ)は学園創始者の末裔にあたる鷹城家の一人娘。
とある事がきっかけで、相談棟の最奥にある第九十九相談室に入り…

A子「ねえねえ、知ってる?」


B美「何が?」


A子「ほら、窓から見えるでしょ?あの建物」


B美「ああ、相談棟のこと?」


A子「そうそう。あそこってね、すーごくたくさん教室があって、長ーい長ーい廊下を進んで行くと、1番奥の部屋に『怪人』が棲んでるって噂があるんだって」


B美「えー?怪人?

何その怪談じみた話」


A子「知らないの~?

私はお姉ちゃんから聞いたんだけど、なんかすごく昔から語り継がれてるらしいよ。


で、実際にはその1番奥の部屋まで辿り着いた人はいないんだとか」


B美「ふーん、学園7不思議みたいな感じ?」


A子「そうそう、しかもねー、その怪人ってすんごいイケメンなんだってさ!」


B美「何で、誰も辿り着いたことがないのに、イケメンって分かるのよ」


A子「……何でだろ?

とにかく、そういう噂なの!」


B美「分かった分かった。

ところで、今まさに相談棟へ渡ろうとしてるあのキレイな人、誰かな…」


A子「ああ、あの人?

知らないの~?

あの人はね、この学校の創業者の孫で………」