破鏡悲歌~傾国の寵姫は復讐の棘を孕む

作者無憂

下級官吏の娘であった蔡紫玲は、不遇の皇子・伯祥の妃に選ばれる。互いに比翼連理を誓った二人の蜜月はわずか数か月。紫玲の美しさに目をつけた皇帝は権力を振りかざして紫玲を奪い、後宮に入れた。伯祥の死を知った紫玲は、復讐を決意する――
中華後宮復讐譚。

 玉匣清光不復持、菱花散亂月輪虧。

 秦臺一照山鶏後、便是孤鸞罷舞時。 

 (唐・李商隠「破鏡」)


 皇帝の気まぐれにより、一組の夫婦は無残にも砕かれた。

 妻は皇帝の寵姫となりながら、割れた鏡に復讐を誓う。

 胎内に宿る、あの人の忘れ形見を帝位に即けてみせる。

 復讐のためならば、この国が滅んでもかまわない。


 傾国の毒婦と呼ばれた寵姫の、命を懸けた復讐の物語――