同じ施設で育って“かぞく”のように過ごしていた男の子がある日、知らない匂いをまとって帰ってきた。


游黒街(ゆうこくがい)。


そこは常人であれば近づいてはならない、踏み込んではいけないと言われている街。

聞くところによれば、私の大切な家族が出入りしているらしい───。






『彼氏がいるってのに

他の男のために泣いて、


挙げ句そいつに抱かれてんだよきみ』






踏み込んだなら




ねえ、ユキちゃんはさ。

……お父さんに会いたいって思う?


……思わない、よ。

じゃあシロちゃんは…?


…僕は写真すらない。

会ったところで親だなんて思えねーよ。


思っても会えないから…、

もう思わないようにしてるの。





『────かぞく、もうやめたい』