雪の魔術師
雪の夜に出会ったあの人は、投資会社代表と同一人物なのか。失踪したあの人が、経済界の大物として映っている写真を見つけて――。
<あらすじ>
クリスマス・イヴの北海道。雪の夜の駐車場で、立ち往生するありさ一家の車の前に、忽然と現れ、誘導してくれた見知らぬ男。その的確な指示としなやかな身体の動きに魅せられたありさ。彼は何者なのか。雪とともに現れた魔術師なのか。
翌日現れたその男は、記憶喪失の身元不明者だった。雪野 進と名付けられた男は、ありさの父が経営するカフェに住み込みで働くことになる。やがて、進とありさは愛し合うが、彼はひき逃げ事故に遭い、入院中の病院から失踪する。
失意のありさは、客が置いていった新聞から、投資会社代表・矢吹義人として映っている男の写真に目をとめる。矢吹義人は進に瓜二つだった。
舞台は、雪の北海道から、東京・大手町へ。陰謀うずまくビジネス界を舞台に、お菓子作りの得意なありさが夢と愛を追いかける――。
<主な登場人物>
三田ありさ:家族経営の北海道のカフェで働く二十四才。食品プランナー
矢吹義人(雪野進):矢吹ホールディングス(HD)専務。後にCEO。投資会社代表
藤木亮:義人の側近の会計士。後に矢吹HDのCFO
堀田圭子:ありさの大学時代の友人。大手食品会社で働く
アンディ山崎:音楽コーディネーター。人気DJ。NY在住。義人の敵方の肉親
高柳レナ:裕福な貿易商の娘で高級雑誌のモデル。ありさのライバル