窓の外、武装した兵隊たちが列を成し、他国へ出かけていくのを眺める彼女は、同じくその様子を眺める少女に語りかける。

少し前までこの国には王様もお姫様もいたんだよ。

優しい母の少し悲しげな口調に小さな女の子は不思議そうに小首を傾げた。

でも・・・今は女王様しかいないよ?

母は僅かに表情を陰らせた。そのまま遠くに見える大きな王宮の影に視線を向けて思い浮かべるのは。

それはね・・・。




時は遡る。20年前の出来事へと。