作品コメント

ぜひご一読を！
本格的な主題、深く考えさせられる重みある展開、作り込まれた設定…
見切り発車・台詞先行・ワンアイディアの作品があふれる中、“物語”としての体裁を成している本作には、とても好感が持てました。

強烈で鮮烈な出だし。
生死への観念に、人とは違う「歪み」を持ったキャラクターたち。
彼らの不自然な関係。
平凡な日常や常識をぶち破る新鮮な要素が、随所にちりばめられています。
そして、その魅力を伝えるのに充分な表現力をお持ちかと。

ちょっぴり残念に感じたのは、佳境への引き金が「警察の捜査」という味気ないものだったこと。
実際、一般人の貢献なんて微々たるものでしょうが…ここだけはリアリティーにこだわらず、強い復讐心を抱く主人公に活躍させて欲しかったです。

あと二つ、欲を言うなら、
・全て解決したあとの結末に、もうひとひねり欲しかったかな、と思います。
・どこかで見たような展開が点在しているので、もう少し作り込んでみると良いんじゃないでしょうか。

色々書きましたが、総評すれば、一読推奨のオススメ作品です。
素敵な作品をありがとうございました！

異色
誕生日を迎えた少女

全てを失った一瞬

生きたいと強く願い

身体だけ生きている彼女と

死にたいと強く願い

心だけ生きている自分と

どちらが本当に生きていて

どちらが本当に死んでいるのか。

今までにない異色作品。

スタンダードなものでは満足できない方にもオススメです！

生きることへの渇望
誕生日を迎えた主人公が、心地好い風を感じながら家に帰ると、そこには見知らぬ男がいた。事切れた母と弟がいた。

冒頭からインパクト十分でした。

臓器売買組織に狙われた主人公。別人の体に脳移植して命を取り留めたものの、それはもはや自分とはいえず……。
生きることに葛藤しつつ、事件は更なる展開をみせ、そして起こる不思議で小さな奇跡。
ミステリーでありながらほんのりファンタジー。

非常に面白かったです。
オススメです！

斬新
今まで読んだ事のない話でした。

1Ｐ目から続きが気になり、一気に読んでしまいました。

誕生日を迎えた美穂が帰った家で見たものは、あまりに残酷な光景。

目を覚ました美穂を待っていた現実は、自分とは似ても似つかない少女の身体をした自分。

どれもが新しい設定で展開。

進むにつれ、ハラハラして読んでいました。

素晴らしい作品をありがとうございます。

生還せし少女の葛藤
謎の組織によって家族と、そして自分の身体を失った少女。
病によって死に、身体だけが残った少女。
お互いの欠けを補完するかのように、再び生を得た彼女を待ち受けていた現実とは。

「臓器移植」という斬新なキーワードを供えた、ちょっと不思議なお話。
また、そこに主人公の「生」への葛藤が絡んでいることで、物語に奥行きが出ています。
ファンタジー要素とミステリー要素を兼ね備えており、とても楽しめます。しっかりとした描写、文章もとても魅力的。
繋がっていく点と点、そして結末。
怒濤のクライマックスには圧巻です。

これから、ぜひ仲良しの兄妹になっていってほしいな、と。ラスト、心の中で呟きました。

ぜひ読んでみて下さい。