飛んで火に入る冬の虫

作者池原ゆき





この雪は永遠と降り続くのではないか

この冬は本当に春に変わるのだろうか


足元に降り積もる雪が

ふと、不安にさせる



感覚の鈍った両手を合わせ

足早に家路へつく


見慣れた道

近所の家の夕飯の匂い



小さな心にできた小さな不安は

瞬時に消えた





家に帰ろう。




今日のご飯はなんだろう?



今日はおでんが食べたい。

通り過ぎたコンビニの隅で同級生が

食べていたおでんが頭から離れない。




寄り道した駄菓子屋で買ったお菓子を

幼い弟にあげたら喜ぶだろうか。

ご飯の前だからだめ

と、母に怒られるだろうか

じゃあ俺が…と父が1つ食べてしまうだろうか。