源義経黄金伝説 第5回 1章5.一一八六年 黒田荘・東大寺荘園

作者飛鳥京香

義経は人生において、常に逃亡者である。居場所がない。世の中には彼に与える場所がない。

「義経黄金伝説」 第5回

5.一一八六年 黒田荘・東大寺荘園

奈良にある黒田荘(ショウ)(現三重県)は東大寺に属している

。先月の東大寺があげての伊勢神宮参詣もこの地で、重源を始め多数の僧が宿をとっている。いわば東大寺の情報中継基地である。

 あばら家の中、どぶろくを飲んで横たわっている二人がいる。太郎佐。そこに弟の次郎佐が訪れる。


「兄者、兄者はおられぬか」

「おお、ここじゃ、次郎左」

「何じゃ、なぜそんな不景気な顔をいたしておるのじゃ」


「これがよい顔をしておられるか。お主、何用じゃ俺に金の無心なら、無用じゃ」

「兄者、よい話じゃ。詳しい話は、ここにおる鳥海から聞け」