甲斐 勇翔

遠い日のNostalgia
一見、平凡な小説だ。だが、心地好い平凡さに身を委ねていると、時としてとんでもないものが襲ってくることもある。

瑞紀は、見た目はひょろくて、いとこの颯真に比べると、女々しい感じが否めない主人公だ。

だけど、その少年の持つ広大な包容力はそこしれない。

見た目に惑わされてはいけない、彼は唐突に襲ってくる困難を冷静に受け止められる強い少年なのだ。

颯真は、一見ぶっきらぼうだが、誰よりも他人の気持ちを想い、彼なりに手を差し延べられる優しい少年だ。

それ以外にも、魅力的な人物はたくさん登場する。

和歌山の、片田舎で起きた一世帯のちっぽけで大きな夏の出来事に、ノスタルジアを感じずにはいられない。