ある日、わたしが出会ったのは。
1人の狼だった。
ぱっちりとした二重まぶたと、通った鼻筋。
形のいい唇。それはそれは見目麗しく、整いすぎる顔立ちをした彼。
そんな彼の表の顔は、天才エンジニア。
対し、あたしは、体力だけが取り柄の陸自陸軍。
どこからどう見ても接点なんてない2人だけど、あるきっかけから私たちは出会ってしまった。
この運命を、私は、今でも後悔している。
残酷すぎるこの運命を。
彼は、彼の名は冬華 真夜(トウカ シンア)と言った。
名前の通り、闇がよく似合う人だった。
漆黒の夜に、そこに溶け込む黒。
その姿に目を奪われた。
こんなに。闇が夜が似合う人は初めて見た。
そんな彼のもう一つの顔は、身体を張った請負人だった。
あたしの名前は胡蝶 すずらん(コチョウ)という。