ある晴れた日の午後。一匹の黒猫が、塀の陰から首輪の鈴をチリンと鳴らして出てきた。頭のてっぺんからしっぽの先まで全部真っ黒。「おいで」雄太は子猫に声をかける--


ある晴れた日の午後。

一匹の黒猫が、塀の陰から首輪の鈴をチリンと鳴らして出てきた。子猫だった。

赤い首輪に金の鈴。頭のてっぺんからしっぽの先まで全部真っ黒。

「おいで」

雄太は子猫に声をかける--。