作品コメント

総司の恋
京に上がる前の沖田総司と、あかねの恋が良い感じです。

　戦いが済み、あかねを背負って帰る総司が、鐘の音を聴く辺りの描写が素敵です。

楽しめる中にも人として考えさせられる時代劇
楽しく読める時代小説です、総司とあかねをはじめとする登場人物のキャラはそれぞれ異なってはいるが、あかねの子供らしい無茶な中に見られる可愛らしさ、総司の自分の利得を度外視した犠牲的な精神、二人の若者を温かく見守りながら、大人として与える的確なアドバイスと必要な手助け。
自分第一主義を美徳のように見がちな現代に住むわたしたち人間に欠落している精神態度、人としての特質を見事に描写した、じっくり考えさせる作品です。

読みやすい時代もの
時代ものと言えどもとても読みやすかったです。

ただそうするためか、逆に現代っぽい感じがする表現もちらほらと。


激動の時代に名をはせた一人の剣士にも、こんな柔らかなエピソードがあったんだ、と思わず入り込んでしまうお話でした。