さよなら、私の初恋。
紗雪は天台で灰色の空を見ながらそう思った。
涙は、止まらない。
風が強く顔に当てて、痛くて。痛くて。
心はもっと痛いだろうな。
同じ時、正門で愛を待っていた晃輝はそう思った。
彼はもうしばらくそこで立っていた。
ダメか・・・
彼は灰色の空を見上げて、つぶやいながら去っていった。
残り黄昏の夕日に当てられ、輝いていた教室の机の中に、手紙が置いてあった。
晃輝へ。
「好きです。」
そして下に書いてあった名前は、
「紗雪」。
中学の卒業式以来、私はキミと会えなかった。私の初恋は、また始まっていないのに、もうすべてがおわった。
今思ったら、私たちはその時同時に運命を信じていたのね。