いくつもの扉、そして鍵、および愛

作者いおりべ

人間としての機能を失った父。裏切り者の母。様々な過去に縛られた少女の凍った心は、白い髪の〝彼〟と出逢うことで融けてゆく。

凍結した部屋の扉を開いたのは彼。

私に差し伸べられた手は白く逞しく、

なにより温かった。


だが、簡単に幸せなど得られない。

人間ではなくなった父が、裏切り者の母が、

私を捕らえて離さない。


私は戦わなければならなかった。

女だからといって、

おとなしくしていると思ったら大間違いだ。


未来は自分で切り開く。

もちろん、独りではつらい。

けれど、今の私には彼がいる。

彼と一緒なら、負けない気がしたんだ。