「ポラリスって…知ってるか?」
「なにそれー」
「北極星だよ…。地球から見る…とほとんど動くことのない北極星の中のお星さまの一つ」
「ほっきょくせい?」
「…美那の成長、その星になって俺はずっと見守って…るから」
「…美那、お兄ちゃんとまだ一緒にいたい」
「…ごめ…んな…美那…」
中学生になった今でも、夜の星空を見ると思い出す。昔お兄ちゃんが死ぬ直前にした会話。
まだその頃3歳だった私は、「お兄ちゃんが星になる」という言葉の意味を、よくわかっていなかった。
「…オリオン座だ…」
届きそうで届かない、夜の星空に手を伸ばす。
…君と見た星空は、今も私の心の中に綺麗に輝いている。