落下していくのはいつも私だ。
お前にたどり着くこともできないまま私は落ちる。
愛を育てようなんていうのは私の性分じゃない。だから一瞬をかけてこの身を燃やすの。

 ああ、そういえばと。

 僕はいつもこの丘でこの風景を知り、そしてこの街に出会ったのだと、振り返り、息を呑み、吐き出す。それは、何気ない動作なのだろうけども、何よりもここで確かに生きているのとわかる手頃な方法。ここで生きていくことの難しさ。というよりも生き延びてることの奇跡を、この丘で感じていた。


 でも、あのときは違うものがある。それはとなりに君がいる。それだけ。それだけであの頃と変わらない丘は綺麗に色を変える。



こんなにも世界は綺麗だ。