私の名前は「ピ~こ」。
私が大事にしていた人形の名前は「流」。
これからの話は、全て私の身に起きた出来事である。
今から、8年前。
私は9歳だった。
「ピ~こ、早く準備してよ!」
台所の方から、短気の母が忙しく身の周りの物を段ボールに詰めながら、私をにらんでいる。
「うん。わかってるって。」
今日は、新しい家に引っ越す前日だった。
一通りは整理できたが、私はどうも整理整頓が苦手らしく、なかなか進まなかった。そんな私を見ながら母は、父の分まで整理していたので、かなり苛立っていた。
しかし、私は今すごく気に入っていたお人形の「流」を使って遊んでいた。背中に母の苛立ちを感じながらも、遊びたいという誘惑に負けていたのだった。
この時に、しっかり整理しておけば良かったと、これから何度思ったことだろう。。