あの頃に戻れたら。
―なんて甘い考えを、あたしたち女っていうのは持ちたがる。
過去は過ぎ去ると書いて過去と読むくらいなんだから、とりかえしがつかない、かけがえのないものなのに。
あたしは、その「過去」にたたずむ想い出をもう一度、ほしがる――。
【悲恋系恋愛短編集】