全部が嘘だったらよかったに。
この世の全部が嘘だったらよかったのに。
俺たちが生まれたことだって、生きていたことだって、泣いたことも、笑ったことさえも、すべてが嘘だったらよかったと思うんだ。
こんなもののために生きてるんじゃない。
掻きむしっても消すことさえ許されない今。
俺の中から俺が消えていく。
手を伸ばしたって掴むことの出来ない幸せは、俺を嘲うように一寸先に立っていた。
なあ。
なあ、もし聞こえるのなら頷いてくれ。何でもいいから反応を示してほしいんだ。
もう一度だけ言うから。
俺は、こんなもののために生きてるんじゃない。