――「ここからはもう、お前の道だ」
……いつものあなたならもっと、
意地悪で、
我が儘で、
聞き分けがなくて。
なのにどうして今、
切ないほど優しく突き放すの……?
「さよならじゃない。
必ずまた出会ってみせる」
――あなたの触れた跡が残ってるの。
“最後”に交わしたキスの跡が熱い。
……最後なんかじゃないよね……?
――私、
あなたと出会って、恋をして、
だいぶ子供になったみたい。
薬指に残された赤い約束を胸に、
首筋に跡をつけなかったあなたを
いつまでも待つ。
「さよならじゃない」
二人とも、そう言い聞かせて――。