――あなたは、自分が狂ってゆく姿を……想像、出来るだろうか。


異常な人口爆発から数十年、この世界はおぞましい奇病で覆われた。


身体の色素が紅色にと変色していく

“カーマイン病”

紅の瞳と痣を持つ彼らは最終的には発狂し、ヒトだとは考えられない程に凶暴化するという。


伝染性を持ち、またその様な状態へと進行するとされる為に、患者は各政府の管理する隔離施設への入所が義務づけられるようになった。


――しかし。

治療法も無く、未だ不可解な点の多いこの病気に疑問を持つ者も多く、俗に“狩り”と称される入所勧告に従わず感染を偽り生活する者も多い。


首都北区に家族と住む朝倉啓一もその一人だった。

彼もまた上手く逃れつつ十数年生きてはこれたが、ある夜遂に発見され“施設”へと送られる---。

「特別患者」と指定された彼は

そこで何を見るのか。


陰謀の中に置かれたカゴ。

その中から自由をもがく、物語。